La Dea delle Foreste
ラ・デア・デル・フォレスタで起こる日々の出来事・・・

微かな、春の予感                 


― おかえりなさいませ、旦那様...


ゆったりとした動作で、
コートをジュリオさんに預け
書斎へと向かわれる旦那様。

これから ジュリオさんと、
ご公務で館を空けていた間の
館内の出来事確認をし、

一休みされた後、
またご公務の続きにとりかかられるのでしょう。



久しぶりの自邸の書斎で、椅子に腰掛け、
旦那様は一つ 息をつかれた。

長い道中と連日のご公務で、
やはりお疲れのご様子...


― すぐにお茶をお持ち致します。


旦那様からは特に返事はない。

既に、頭の中では
お仕事のことや 明日のパーティーについて
私には計り知れない 膨大な思考を
巡らせていらっしゃるのでしょう。

そっとドアを占め、静かに部屋を後にした。





... パーティーはもう明日。



ここのところはほぼ毎日と言ってもいいほど
リリィ・テイラーやそのスタッフを呼びつけては
入念に衣装の打ち合わせをしているロベルティーネ様。

『男子禁制のパーティー』、
ということは、

言い換えれば

『女性ばかりのパーティー』、
ということですから...



その中で他の誰かに輝きが劣るようなことがあっては
ロベルティーネ様のプライドが許さないのでしょう。

ルシアさんやマリルさんたちが
そんなロベルティーネ様を褒め称えては
なんとかご機嫌をとろうとしていたけれど... ... ...

... ... ...


...そこで、ふと
まだ他の使用人たちには
公にはされていない

『大穴』

の件を思いだした。



日の当たらない場所で
目をキラキラとさせて
困難にも果敢に挑戦しようとする『彼女』の姿。

彼女の輝きは... ... ...。



目を閉じ、
明日のパーティーで起こりそうなことを
そっと頭の中で描いてみる。


― このことは、まだ、他言無用。


すぐにまた目を開け、
用意したお茶を持って
再び書斎へ向かう。



旦那様、春はきっともうすぐですよ。
 

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